十一房珈琲店

ボリビア・ベジャビスタ

ボリビアは南米大陸のど真ん中に位置し、ペルーとブラジル、チリ、アルゼンチン、パラグアイに囲まれた内陸国です。また、ペルーとの国境には標高3810mの高さにチチカカ湖が広がっている事で知られています。
そのチチカカ湖の東側に広がるラパス県の中に、ボリビア産コーヒーの95%を産出している主要産地ユンガス地方があります。
過去に販売した事にあるコパカバーナ農園やリオコリ農園を始め、今回ご紹介するベジャビスタ農園もこの一帯にあります。
ベジャビスタ農園は、他の農園よりはやや南部のカラナビと言う地域のベジャビスタ森林保護区の麓にあり、オーナーのアスカルンス家が営む農園の中で最も高い標高1,700mに位置する野生動物の楽園です。
標高1,700m。
因みに、ベジャビスタ農園は、コパカバーナ農園やリオコリ農園よりも標高が高いそうです。標高が高い環境では、栽培の難度が高い反面、昼夜の寒暖差が大きくなりコーヒーチェリーの成熟が進む好条件だと言われています。
アスカルンス家がこの地に農園を開く経緯に、何ともボリビアらしい事情がありました。
アスカルンス家は1650年代にスペイン北部のガリシア地方からボリビアへ移住してきました。その後、現農園主であるマリアさんの父であるハイメ・アスカルンスさんが、50年前にユンガス地方南部のチュルマニ県と言う所に最初の農園を購入しコーヒーの栽培を始めます。ですがその後、近隣の生産者がコカインの栽培を始めたため、物騒な地域となり、その農園を売却することになってしまいます。そして同じユンガス地方南部カラナビの、この農園を購入したのです。
近所で、コカインの生産です。。
日本では考えられませんね。
ボリビアは、過去に100回以上のクーデターが発生している政情不安な国で、南米でも最も貧しい国の一つです。そういった事情もあり、ボリビアには麻薬大国という別の顔もあります。経済的に貧しいこの国ではコカインが主要産業で、コカインの原料のコカの葉が合法的に栽培されているのです。
東南アジアのコーヒー豆をご紹介する時にも触れましたが、経済的に貧しいコーヒー生産国では、このコカイン生産が切っても切り離せない問題として横たわっています。
以前の投稿で、タイでもコカインの畑をコーヒー畑に変えて農民の暮らしを向上させようとする活動があり、世界的に素晴らしいコーヒー豆を生産するまでに至った農園がある事について触れました。ですが一方で、上手く軌道に乗らず、気が付けば元のコカ畑に戻ってしまった農園もある、と言う話も過去にお話ししました。
それぞれの地域で暮らす農家の人々は経済的に貧しく、コカの栽培の方が良い収入になるのなら、農民は生きてゆく為にコカの葉を育てようと考えるのは仕方のない事なのです。その流れを断ち切るのには、恐らく地域のみならず国家単位で抜本的で継続的な支援が必要ですが、一筋縄ではいかない様なのが現状の様です。
ボリビアでも、恐らく同じような状況なのだと思います。
折角手に入れた農園の近所でコカの葉を育てる農園が出来て、恐らく辺りをうろつくヤバい人達を毎日の様に見かけては、おちおち安心してコーヒー農園なんて営んでられないでしょうから、ハイメ・アスカルンスさんは泣く泣くその農園を諦めたのではないでしょうか。
ですが、結果的にベジャビスタ農園と言う素晴らしい農園を作る事が出来たので良かったのではないかと思います。
今後、また近所でコカイン農園が出来ない事を祈っています。
ボリビアは経済的に貧しい国ですが、実は地下資源が豊富なのだそうです。ですが未だ開発は進んではいないそうです。そんな事情もあり、1930年代にはパラグアイ国境地帯のチャコ地方に油田があるという誤報が元で、パラグアイと激しい戦争になり、莫大な被害を出し、戦費で国家財政は疲弊してしまったのもその一因だとも言われています。
因みに、キューバ革命を起こしたラテンアメリカの英雄チェ・ゲバラは、その後貧困に苦しみながら軍事政権が続くボリビアでの革命を目指しましたが、政府軍に捕まり非業の死を遂げた事でも知られています。
激しい歴史です。
ここんところ、COEオークションだの、華やかなコーヒー豆情報を投稿してきましたが、そもそもコーヒーの生産国は、非常に厳しい環境下にあるのだと再認識させられます。
そんな激しい歴史と共に営まれているベジャビスタ農園のコーヒー豆は、その歴史とは裏腹にマイルドな優しい味わいです。特徴的なのが、プルーンの様な果実味とチョコレートや黒糖の様なしっかりとしたコクと甘味です。ケーキやクッキーとの相性は抜群です。
また、ベジャビスタ農園のコーヒー豆は、バイオ・ラティーナ有機認証を取得しています。
バイオ・ラティーナとは、USDA(アメリカ農務省)公認の認証団体で、ペルーを中心とした中南米11カ国に拠点を構えています。
アメリカでは、USDA(アメリカ農務省)傘下の全米オーガニックプログラム(NOP:National Organic Program)という制度により、オーガニック食品の認証が行われています。
言ってみれば「USDA」とは、日本で言えば「有機JAS」と言う事です。オーガニックに興味のある方はこの“USDA”と言う名前は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
バイオ ラティーナ有機認証は、バイオ・ラティーナ団体がUSDAのオーガニックプログラムの基準を満たしたと判断した業者に交付されます。実際、中南米産のコーヒー豆で良く目にします。
因みに日本では、有機JAS認証以外は認証されていませんので、このUSDA認証を始めバイオ・ラティーナ有機認証は、オーガニックと呼ぶことはできないのだそうです。ただ「有機栽培」と謳うそうです。
とは言え、USDAの厳格な基準を満たしたコーヒー豆です。オーガニックに関心の高い方は、どうかお試しくださいね。
最後に、
ボリビアのユンガス地方には、「ユンガスの道」と言う、ボリビアの首都ラパス市から北東方向のユンガス地方に延びている長さ約80kmの山岳道路があるのを知ってますか。
この山岳道路は、こう呼ばれています。
「世界一危険な道路」
これは、米州開発銀行が1995年に「世界でもっとも危険な道路」と呼んだ事で有名になりました。
この道路は標高3600mに位置する最大都市ラパスから標高4650mのクンブル峠を超えるルートです。富士山よりも高いところを走る山岳道路なのです。
ですが、世界一危険な道路と呼ばれる所以は、この標高の高さではありません。
この道路の多くの部分は切り立った断崖、なかには800mの崖の上を走る部分もあるそうなのです。
は、800mですって・・・
しかも、一歩間違えれば…という恐怖の断崖絶壁の道にも関わらず、ガードレール等は一切設置されてないのだそうです。さらに道の幅は基本的には車1台分程度しか無く、最大のところでも5mほど。さらに、さらにさらにこの地域は多雨林に位置するため、泥状になった路面に山肌からの落石もあるそうです。
この道は1930年代に造られて以来、長きにわたってボリビア北部の森林地帯と大都市ラパスを結ぶ貴重な道として、人々や物資の往来がありました。しかし年平均で200件以上の墜落事故があり、毎年100人前後の人々がここで命を落としました。
命がけで往来してしたのですね。どうしても通らなければならなかった人々は、本当に気の毒です。
画像を見て見ると、まるで漫画みたいです。
高所恐怖症の僕は、絶対に絶対に、絶対に無理です。
嫌です。
思わず、ルパン三世の「カリオストロの城」のカーチェイスのシーンを思い出しました。追っ手から逃れた後、クラリスが車の中で気絶してルパンが助けるシーンです。
いや、「カリオストロの城」の道は、ガードレールがありましたし、道幅も倍位ありました。
このユンガスの道では、流石のルパンでも崖を登ると言う荒業は出来ても、カーチェイス出来ないでしょうねえ。
まあ、追っ手の方が先に落ちてしまいそうですけれどね。
このユンガスの道は、パラグアイ捕虜を使って作られ始めました。あまりにも危険な工事だったので、多くの捕虜が命を落としました。このため、この道で多くの人が事故死するのは、パラグアイ捕虜の呪いとも言われているそうです。
いやいや、呪いなど掛けられなくても、充分事故死しそうですけれど。。
ですが2006年、20年の歳月をかけて山岳地帯を大きく迂回する2車線の迂回路が完成させたそうです。お蔭でこの恐怖の道を往来する数は減ったそうです。
今では観光地として注目を集めるようになっているそうです。
恐らくベジャビスタ農園のコーヒー豆も2005年までは、ユンガスの道を通ってラパスまで運ばれていたのではないでしょうか。そして、命を落としたドライバーもいたのではないでしょうか。今は、この死の道を通る事無くラパスまで運ぶことが出来ているのだろうと思うと、本当に良かったです。
これだけの事を知っただけで、このベジャビスタ農園のコーヒー豆が僕の手元に届いていると言う事の意味について、深く深く考えさせられています。
それではまた。
スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 | ホーム | 

プロフィール

cafebechet

Author:cafebechet
1978年創業の自家焙煎ネルドリップの珈琲店です。真空管アンプからjazzが流れ、静かで落ち着きのある大人の雰囲気です。注文を受けてから一杯ずつ丁寧に時間をかけ抽出します。珈琲の持つ甘味や風味といった旨みを味わって下さい。

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

カテゴリ

お店の紹介 (1)
珈琲豆の発送について (1)
珈琲豆一覧 (1)
珈琲豆の説明 (29)
珈琲豆の説明ー期間限定 (49)
未分類 (0)
焙煎機について (1)
ネルフィルターについて (1)
十一房珈琲店の味について (1)
おうちコーヒー@十一房 (2)
ペーパードリップを極める (3)
スタッフ募集について (1)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR